Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
にちりん
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Lisez 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 86 787 caractères · 177 écrans
金剛石は材木の浅い割目の中で二重に見えていた。彼はそれを掌(てのひら)の上へ乗せると笑えて来た。
家へ帰ると彼は中へは入らずに直ぐ裏へ廻って、流し元の水を受ける槽(おけ)を埋めた水溜(みずため)の縁の湿っぽい土の中へ金剛石を浅くいけた。そこには葉蘭(はらん)が沢山生(は)えていたので、その一本の茎を中心に小さい円を描いておいた。彼は、こうしておけば直きに金剛石が大きくなるにちがいないと思われた。それに此処は水をやらなくてもいいと思った。
四
その夕方、米は昨日見付けた柏(かしわ)の根株(ねかぶ)の蜂の巣を遂に叩(たた)き壊(こわ)して帰って来た。そこへ母が奥から出て来て魚屋の通帳を彼に渡して牛肉の鑵詰(かんづめ)を買って来いと命じた。米は母の顔が少し赤いと思った。そして外へ出る時庭に見馴(みな)れない綺麗な下駄を一足見付けた。彼は畳のような下駄だと思って履(は)こうとすると、母は「これ。」と顎を引いた。
米の家と魚屋とは親戚であったし、馴れていた。それでそこの魚屋の主人は米は障子を開ける前に、きっと叔父(おじ)さんは常日(いつ)ものように笑っているだろうと思って覗いて見たが、独人(ひと)りで恐い顔をして庭の同じ処を見詰めていた。