Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

にちりん

日輪・春は馬車に乗って 他八篇

横光 利一

Lisez 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 86 787 caractères · 177 écrans

Aozora Bunko

彼は群がった夜の花の中へ顔を突き込んだ。すると、涙が溢れ出した。彼は泣きながら冷たい花を次から次へと虫のように嗅ぎ廻った。彼は嗅ぎながら激しい祈りを花の中でし始めた。

「神よ、彼女を救い給え。神よ、彼女を救い給え。」

彼は一握の桜草を引きむしって頬の涙を拭きとった。海は月出の前で秘めやかに白んでいた。夜鴉が奇怪なカーブを描きながら、花壇の上を鋭い影のように飛び去った。彼は心の鎮むまで、幾回となく、静な噴水の周囲を悲しみのように廻っていた。

十一

その翌朝早くから彼の妻の母が来た。彼女は娘の顔を見ると泣き始めた。

「君坊、どうした。まア、痩せて。もっと早く来ようと思ったんだけど、いろいろ用事があって。」

彼の妻はいつものような冷淡な顔をして、相手の騒ぐ様子を眺めていた。

「お前、苦しいのかい。おっ母さんはね、毎日お前のことばかり思ってたんだよ。早く来たくって来たくって、しょうがなかったんだけど、皆家のものが病気ばかりしていてね。」

彼は手紙に書かなかった妻の病状をもう母親に話す気は起らなかった。彼は妻を母親に渡しておいてひとり日光室へ来た。日光室のガラスの中では、朝の患者たちが籐の寝椅子に横たわって並んでいた。