Classiques japonais avec furigana
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にちりん
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Lisez 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 86 787 caractères · 177 écrans
長羅よ。爾の持ち帰った不弥の宝は美事である。」
「父よ。」
「長羅よ。我は爾のために新らしき母を与えるであろう。爾は臥所へ這入って、戦いの疲れを憩え。」
「父よ。」長羅は君長の腕から卑弥呼を奪って突き立った。「不弥の女は我の妻。我は妻を捜しに不弥へ行った。」
「長羅、爾は我を欺いた。不弥の女よ。我に来れ。我は爾を嫁りに長羅を遣った。」
「父よ。」
「不弥の女よ。我とともに来れ。我は爾を奴国の何物よりも愛でるであろう。」
君長は卑弥呼の手を引きながら長羅を突いた。長羅は剣を抜くと、君長の頭に斬りつけた。君長は燈油の皿を覆して勾玉の上へ転がった。殿中は君長の周囲から騒ぎ立った。
政司の宿禰は立ち上ると剣を抜いて、長羅の前に出た。
「爾は王を殺害した。」
長羅は宿禰を睥んで肉迫した。忽ち広間の中の人々は、宿禰と長羅の二派に分れて争った。見る間に手と足と、角髪を解いた数個の首とが斬り落された。燈油の皿は投げられた。そうして、室の中は暗くなると、跳ね上げられた鹿の毛皮は、閃めく剣の刃さきの上を踊りながら放埒に飛び廻った。
卑弥呼は蒸被を手探りながら闇にまぎれて、尾花の玉簾を押し分けた。