Classiques japonais avec furigana
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にちりん
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Lisez 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 86 787 caractères · 177 écrans
しかし、卑弥呼は黙然として反耶の死体を眺めていた。
「卑弥呼、我は奴国を攻める。我は爾を愛す、我は爾を欲す。卑弥呼、我の妻になれ。」
彼女の頬に付いていた白い羽毛の一端が、反絵の呼吸のために揺れていた。反絵はなおも腕に力を籠めて彼女の上に身を蹲めた。
「卑弥呼、卑弥呼。」
彼は彼女を呼びながら彼女の胸を抱こうとした。彼女は曲げた片肱で反絵の胸を押しのけると静にいった。
「待て。」
「爾は兄に身を与えた。」
「待て。」
「我は兄を殺した。」
「待て。」
「我は爾を欲す。」
「奴国の滅びたのは今ではない。」
反絵の顔は勃発する衝動を叩かれた苦悩のために歪んで来た。そうして、彼の片眼は、暫時の焦燥に揺られながらも次第に獣的な決意を閃かせて卑弥呼の顔を覗き始めると、彼女は飛び立つ鳥のように身を跳ねて、足元に落ちていた反絵の剣を拾って身構えた。
「卑弥呼。」
「部屋を去れ。」
「我は爾を愛す。」
「奴国を攻めよ。」
「我は攻める。剣を放せ。」
「奴国の王子を長羅という。彼を撃て。」
「我は撃つ。爾は我の妻になれ。」
「長羅を撃てば、我は爾の妻になる。部屋を去れ。」
「卑弥呼。」
「去れ。奴国の滅びたのは今ではない。