Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
橋の上の女 ――銭形平次傑作選2
野村 胡堂
Lisez 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 88 573 caractères · 178 écrans
「それは?」
こうなると、途中から顔を出した平次は、口のききようもありません。
ともかくも、灯りの用意をさせて、現場を見ることにしました。旅籠屋を兼業しているだけに、お勝手も広々として、そこには多勢の人が立ち働いておりますが、そこから障子を一枚開けると、裏は車町の崖になっており、二間ほど高いところに、ささやかな地蔵堂が建ててあり、屋根だけ葺いた、怪しい崖の上に、三体の石地蔵様が坐し、その一番大きい中の一体が、崖の下に転がり落ちて、巴屋の主人の山三郎の身体を、ギュウと押し潰すような格好になっていたというのです。
地蔵様は巴屋の地内に建立されたものですが、崖上は幾つかのお寺と御家人屋敷で、信心の方は、上から崖道を辿っても、お詣りが出来るようになっております。
この崖の上から、何かの機みで、地蔵様を抱いて落ちたとしたら、なるほど無事では済まなかったでしょう。下に落ちている地蔵様はざっと五六十貫、一人や二人の力では動かせそうもありません。
地蔵様の台座の下は、土竜の穴のように深々と掘れてあり、この中を捜った弾みで、台座のゆるんだ地蔵様が、下に転がり落ちたと思えないことはありません。