Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

橋の上の女 ――銭形平次傑作選2

野村 胡堂

Lisez 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 88 573 caractères · 178 écrans

Aozora Bunko

平次の論告は深刻ですが、情理を尽したものでした。薄暗い中に昂然とそれを振り仰いでいたお夢の頭は、次第次第に垂れて、そのまま路地の外へトボトボ出て行こうとするのです。

八五郎は早くも二階を降りてその逃げ路を塞ぎました。

「八、放って置け」

平次はこの美しい顔と醜い心を持った女の処置を、天の裁きに委ねる気で居るのでしょう。

×          ×

囃子方の六助も、早くもこの様子を察して逃げてしまいました。

「変った捕物でしたね。血を流した者が一人もなく、縛られた者も、盗まれた者もないのは面白いじゃありませんか」

八五郎は帰る途々平次に話しかけるのです。

「六助が匕首を盗まれたじゃないか」

「なるほどね」

「でも、死んだ者も血を流した者もないのは、正月らしくて宜かろう」

平次はそんな気で居るのでした。これは後の話ですが、お鈴は足を痛めて綱渡りは出来なくなりましたが、歌と踊に精進して、その可愛らしさとともに、東両国の名物になりました。

六助はそれっきり行方不知。お夢は一と目千両と言われた美しさが崩れ果てて、見る影もない姿を橋の袂にさらし、右や左と物乞いをして居たのは、それからまた三年も後のことでした。