Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

たまものまえ

玉藻の前

岡本 綺堂

Lisez 玉藻の前 (たまものまえ) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 130 703 caractères · 261 écrans

Aozora Bunko

彼はあっと言おうとする息をのみ込みながら、少し伸び上がって無遠慮にその顔をじっと覗き込むと、女の顔は不思議なほど玉藻によく似ているので、彼はなんだか薄気味悪くなって来た。化生の物がこの空き屋敷の奥にかくれ住んでいて、自分をたぶらかすのではないかとも疑われた。

白昼の秋の日は荒れた草むらを薄白く照らして、赤い蜻蛉が二つ三つ飛んでいる。それを横眼にみながら彼は黙って俯向いていると、侍女どもは交るがわるに京の名所などを訊いた。

彼を呼び込んだのは主人の娘の料簡ではなく、侍女どもが自分の退屈しのぎに京の男と話して見たさに、娘をそそのかして呼ばせたものらしい。娘は始終つつましやかに黙って聴いていた。それが千枝太郎には物足らなかった。彼は玉藻によく似たその娘の口から何かの詞を聴き出したいと念じていたが、口の軽い侍女どもばかりに物をいわせて、娘の結んだ口はなかなかほぐれなかった。それでも彼が渡辺の綱に腕を斬られたという戻橋の鬼女の話をした時に、娘の美しい眉は少しひそめられた。

「そのような不思議がまことにあったかのう」

それは若い女にあり勝ちの恐怖の弱い声ではなかった。