Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ずいひつ みやもとむさし

随筆 宮本武蔵

吉川 英治

Lisez 随筆 宮本武蔵 (ずいひつ みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 141 786 caractères · 278 écrans

Aozora Bunko

「こんなほうか、君」

「ええ、こんな方です」

ひどくのみ込んでいる運転手なので安心はしていた。ところがどうやら近くなって来たのは叡山なのだ。かんじんな彼のいわゆる「町」なんていうものは、遥かうしろに、田園を綴った長閑な工場街として遠く見えているだけで、僕らがまごつき、初めて自動車を降りた所などには、町のかけらも見当りはしない。

自動車を降りたわけも、目的地の見当がついたので降りたのではなくて、桑畑の畦の下に沿っている狭い道を、無理やりに進めて来たものだから、当然な帰着として、それ以上は行きようのない山ふところの崖と崖の窮地へ車体を傾けてしまったのである。

「なんていう所へやって来たんだ。君が知ってるというから安心していたのに、こんな所、自動車なんて一ぺんも通ったことのないような所じゃないか。はやくバックしろ、はやく」

T君はしきりに運転手へ怒りだしたが、運転手だって好きで来られる場所ではなかった。何しろその辺の草むらは、タイヤなどというものは頬張ってみたこともないように伸々しているのだ。加うるにすこし沢になっている傾斜を辷り込んで来たのでバックをするには容易でない。