Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
人の手先が細かに動いて発するその音には濃やかさがあり、その音のために却って朝の閑寂が増すようであった。伸子は、響の工合で、外は晴れているのを知った。
今頃は、佃が何をしている時分だろう。一夜明けた今朝は、自分の帰って来た意識が鮮やかに迫って彼女は淋しい心持がした。
母は、食事部屋のテーブルで手紙を書いていた。
「お早う」
「どうしたい、よく眠れて?」
多計代は筆を置いて、硯を片よせながら云った。
「久しぶりだねえ、こんなにして御飯一緒にたべるのは。昼間は淋しいくらいだよ、皆留守になってしまうからね。――何をたべるかい」
「母様は何をあがるの」
「私はパンよ、この頃」
「じゃあ私もそうするわ」
伸子は昨夜、母と床を並べて寝た。彼女達は真暗な中でいろいろ話した。今朝も、母の話題は無限らしかった。伸子も胸一杯あることはあるのだ。けれども、それらはどれも母の経験外のものだ。まして、
「ねえ母様、あの人今、どうしているでしょうね」
などと云えようか! 一番云いたいことを控えているため、伸子は窮屈であった。多計代は、久しぶりで話対手を取り戻した悦びで、伸子のそういう感情に無頓着に、さも愉快そうに云った。