Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate

Aozora Bunko

伸子は、次の小さな仕事に着手した。自分の精神を引締めてくれる点、この外見不幸らしいことも感謝してよい気がし、伸子はしんみりとした元気があった。彼らは、その夜以来、動坂のドの字も口に出さなかった。

月が変って直ぐのある日のことであった。伸子は思いがけず、玄関に和一郎の声をききつけた。伸子は、元気な彼の顔を見ると、思わず自分も男の子のように、

「やあ」

と、よろこびの声をあげた。

「どうした?」

「姉さんもどうした?」

「この通りよ」

和一郎は、伸子の顔や、勉強のために散らかっているあたりの様子を見廻し、

「じゃあ結構ね」

と、はじめて坐った。二人は三時間ばかり、とりとめなく愉快に雑談した。和一郎は、やっと来年の春、ある専門学校へ入る気になったと話した。

「――どんな奴だって、中学を出たばっかりにすぐ悦んで、上の学校の試験なんぞ受けるんじゃあないと思うな。第一、何が自分の好きな仕事か、大抵は分らないし、気持だって適当じゃあないもの――」

帰りがけ、向うをむいて靴をはきながら、和一郎はさりげなく云った。

「ゆうべ、お母さんが僕に、この頃ちっとも姉さんのところへ行かないようだね、っておっしゃった」