Classici giapponesi con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
「それは変だわ」
伸子は熱心に、夫の言葉を否定した。
「私はそうは思わないわ。第一、私どもは、どう人に思われたい、というために生活していやしない。また、顔向けができないなんて云うのは、かえって、このまま二人で、なり下ってこそよ。若し本当に、私どものつながりにちょんびりでも理想的なものがあるなら、それこそ、形なんかに拘泥しないで、生活の内容を進めて行けるだろうと思うわ。――ね、私ども本当にほかの夫婦みたいに、とぐろ巻いて暮すために生きてやしないのよ」
永い沈黙の後、佃は、伸子が意外に感じた平静さで、むしろ彼女を劬るように反問した。
「――じゃあ君は、暫くでも別に暮したら、二人の間がきっとよくなると云う信念がありますか」
「…………」
それはある、と伸子には答えられなかった。佃のいう意味では、よくなるかもしれず――悪くなるかもしれない。けれども、それがめいめいを天性のままにかえすのだとしたら、つまり、よいことになるのではあるまいか。結婚生活の習俗だか、蒙昧だか、ごたごたしたものの大掃除だ。このつながりから一生自由になれないと思うばかりでさえ、佃に反感が起り、憎悪を感じるような立場は、互のために堪え得ないのであった。