Classici giapponesi con furigana
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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
Leggi 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 150.635 caratteri · 306 schermate
五
と、頑強に云い張った。
三日の猶予は、経ってしまった。しかもなお、家厳の意見と、臣下の意見は、一致を見なかった。家厳としては、生けるわが子を受け取っても、筒井家に屈する恥辱を受けるに忍びなかった。また、自分のみか、城中七百の忠勇な将士をして、敵の足もとへ、拝跪させるに耐えなかった。――どう考えても、武門を捨てて武人はない。そうしか思えなかったのである。
すると。
三日目の黄昏、一書が届いた。
大和生駒郡の筒井城からである。――が、書面は公式なものではなく、また、敵からでもなく、そこに捕われている柳生新介から父へ宛てて来た私信であった。
五
敵の中にあるわが子。何を齎してきたこの手紙か。――父家厳の手は顫かずにいられなかった。
――が、披いて、一目、その文字の様を見ると、何か、彼はすぐほっとした。少しも字体が乱れていなかったからである。
文面の意味は、次のようなものであった。
父上。
さても人間とは明日も知れないものであります。きのうまで御膝下で甘えておりましたが、きょうは見も知らぬ敵方の中に、捕虜の身となっていること、ふしぎなる天命と、柔順に深思しております。