Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

Leggi 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 150.635 caratteri · 306 schermate

Aozora Bunko

二

「ふーむ……」

「泣きました。命知らずの強者輩も、さすがは正成公の御嫡子よと、泣かぬ擒人とてはなかったのです。そして半分は、京都へさして帰りましたが、残る半数は、その場で降伏を誓い、正行様の旗本で働きたいと云い出しました。私も、その一名でした」

「なに、降伏したのか。降伏を」

「はい」

「恥を知れ。この父や一族どもの、御主人を裏切って、おのれ、二君にまみえる気でか」

「いえ、父上」

小綱は、遮って云った。

「そのことについては、私も苦しみました。けれど楠木様に召仕われてからは、過りてわが武士道と、さらりと悩みも解けました。――二君とは誰と誰。この日本には、君たる御方は、主上御一人しかないはずであります。足利殿は、また足利殿に加担の衆は、そこの根本の理に晦うござります。故に、彼等の戦は乱です。名は賊子です。――父上がもしここへ来られなかったら、いつか私は、父上を賊徒の陣から救い出しにゆく考えでおりました。武夫の家に生れて、武夫の道をふみはずし、賊の汚名をきて朽ちては、口惜しゅうはござりませぬか」

八

「…………」

蔵六は、大きな呻きばかりして、いつまで、胸に拱んだ腕を解こうともしなかった。