Classici giapponesi con furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Leggi 大岡越前 (おおおかえちぜん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 218.436 caratteri · 437 schermate
「よせよ、人の手にしなだれ掛ッたりするのは。……なあ、由、どうしたもんだろう」
「お兄さんからも、おねがいして下さいよ。もう夜明けにも、間がないことでしょ」
「庄七。こいつあ、おれにも、手がねえや。おめえの方が、惚れられているらしいから、いいようにしたがいいや」
由は笑って、木戸の端から端を、行ったり来たり、六尺棒を突いて歩いた。
「弱ったなあ」と、庄七は、油障子をあけて、中をのぞいた。そして、
「おい、吉弥。そこでよければ、寝てゆきねえ」
と、炉の掘ってある土間の隅を指さした。炉には、自在鉤に大薬缶が懸けてあり、隅の空箱の上には、さん俵が敷いてある。
「おお、暖かそうな……」
と、吉弥はよろこんで、それへ腰をかけ、板の間の框にもたれて、すぐ眠るような姿を取った。
庄七は、六畳の方をのぞいて、何かいっていたが、女房のおたつは、乳のみ子を抱いて、もう性もなく寝くたれていた。
「夜明け前は、寒いからな、これでもかけて……」と、庄七は、壁の合羽を外して、吉弥の体へ、そっとかけてやった。――その時、ふと、吉弥の腰に、葵紋をちらした高蒔絵の印籠が、燦と、提がっているのを見て、