Classici giapponesi con furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Leggi 大岡越前 (おおおかえちぜん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 218.436 caratteri · 437 schermate
罪の父
……十六、七?」
彼は、膝の上で、指を繰りながら、瞑目した。
お袖との仲に生したひとり子が、ぼうっと、彼の瞼にうかんだ。あの時、幾ツ、ことしで幾年と、数え来ると、年ごろも合う。
「だが、調書には、若衆とある。……お燕にしては、その点が」
迷っては、他の部分を読み、また、思いあたる点に、触れては、
「もしや? ……」
と、胸を衝かれた。その心の壁を烈しく打ち叩いて、幼い頃のお燕の泣き声が、久しぶりに、この父の腸をかむように、甦って来た。
罪の父
お縫は、いま、幸福であった。
いまはむかし、結婚前のひと頃の、涙にばかり明け暮れした日をかえりみると、良人は、まるで生れ変った人のように、妻にやさしく、子にあたたかく、灯ともれば、役宅の駕籠に一日のつかれを乗せて、
(いま、帰ったぞ――)
と、公務から解かれた姿を玄関に見せ、部屋に入れば、なお心から、家庭のまどいを楽しんでくれる。
結婚後に生れた長男の求太郎は、もう九歳にもなり、長女の雪子は十二。次女の園子は三ツ。「一姫二太郎」という順に、人にも羨まれるような子持でもあった。
「父に見せたい。父が生きていたら……」
と、お縫は、この幸福に感謝するたびに、亡き忠右衛門を、思わぬ日はない。