Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

Leggi 大岡越前 (おおおかえちぜん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 218.436 caratteri · 437 schermate

Aozora Bunko

怪我はさせないから、一緒に来たがいい」

勘蔵は、楽翁へも、

「お騒がせしましたが、これでまず、堀留の一件は、南の手で揚げてしまう確信ができました。いずれまた」

と、そこそこに辞して、お次と共に、玄関へ立ちかけた。

つねに、北町奉行との競争心にもえ、南びいきに、躍起となる市川楽翁が、なぜか、二人の門出にも、浮かぬ顔して、

「せがれ。ちょっと待て」

と、義平太を、よび返した。

「なにか、御用ですか」

「どうも、わしには、不安がある。――勘蔵どのを待たせてすまぬが、ちょっと、そちだけでも、別室へ顔をかせ」

「お易いことです」

義平太は、一間にはいって、坐るとすぐ、怖い父の顔を、真ん前に見た。

「これっ、伜。……不心得いたすなよ」

「何がですか。何が、不心得で」

「いやさ、功に逸って、二人とも、うかつなことをいたすなというのだ」

「どうも、お父上のことばが、腑に落ちませんが」

「じゃあ、いうが、貴様たちは、越前守様を、犠牲にしても、五人組の賊を揚げる気かの」

「心得ぬことを仰っしゃいます。山本左右太も、小林勘蔵も、またかくいう義平太も、三友、血をすすりあって、大岡越前守様のお身を、何とかして、守りぬきたい一心でいるのです。