Classici giapponesi con furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Leggi 大岡越前 (おおおかえちぜん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 218.436 caratteri · 437 schermate
金にもならねえことを。粋狂なやつらだ。――お袖、飯をくれ」
飯茶碗を持ちながら、梅賀は、ちらと、そこにうたた寝しているお燕のあどけない寝顔を見て、
「こいつの父親というやつも、気のしれねえ男のひとりだ。今どきの若いやつらは、お犬様にかぶれて、生ませッ放しをあたり前にしていやがる」
「ま。そんな、ひどいこといわないでも」
「ふ、ふ、ふ。……お袖。こんなに薄情にされても、てめえはまだ市十郎を待っている気なのかい」
「だって、しようがありませんもの。あちらはやかましいお屋敷の部屋住みという御身分だし」
「笑わせやがる。市十郎は養子だぜ。きまった家つきの娘もある」
「でも、わたしとは子を生した仲。わたしに誓って下すったことばもあります。五年でも、十年でも……」
「待つというのかい。おそれ入った貞女だなあ」
「大亀さんとは、従兄同士、きっと今に、連れて来てやる、会わせてやるともいってくれていますから」
「そいつあ、当てになるまいよ。なるほど、大亀と市十郎とは、親戚かもしれねえが、身寄りはおろか、どこへだって、拙者は以前大岡亀次郎と申した者でござるとは、名乗って歩けねえ日蔭者だ。