Classici giapponesi con furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Leggi 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.333 caratteri · 385 schermate
敬太郎は仕方なしに、「それだけです。実際つまらない結果で御気の毒です」と言訳をつけ加えた。
「いやだいぶ参考になりました。どうも御苦労でした。なかなか骨が折れたでしょう」
田口のこの挨拶の中に、大した感謝の意を含んでいない事は無論であったが、自分が馬鹿に見えつつある今の敬太郎にはこれだけの愛嬌が充分以上に聞こえた。彼は辛うじて恥を掻かずにすんだという安心をこの時ようやく得た。同時に垂味のできた気分が、すぐ田口に向いて働らきかけた。
「いったいあの人は何なんですか」
「さあ何でしょうか。あなたはどう鑑定しました」
敬太郎の前には黒の中折を被って、襟開の広い霜降の外套を着た男の姿がありありと現われた。その人の様子といい言葉遣いといい歩きつきといい、何から何まで判切見えたには見えたが、田口に対する返事は一口も出て来なかった。
「どうも分りません」
「じゃ性質はどんな性質でしょう」
性質なら敬太郎にもほぼ見当がついていた。「穏やかな人らしく思いました」と観察の通りを答えた。
「若い女と話しているところを見て、そう云うんじゃありませんか」
こう云った時、田口の唇の角に薄笑の影がちらついているのを認めた敬太郎は、何か答えようとした口をまた塞いでしまった。