Classici giapponesi con furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Leggi 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.333 caratteri · 385 schermate
三十一
それなら僕がそれほど千代子に恋していたのだろうか。問題がそう推移すると、僕も返事に窮するよりほかに仕方がなくなる。僕は実際彼女に対して、そんなに熱烈な愛を脈搏の上に感じていなかったからである。すると僕は人より二倍も三倍も嫉妬深い訳になるが、あるいはそうかも知れない。しかしもっと適当に評したら、おそらく僕本来のわがままが源因なのだろうと思う。ただ僕は一言それにつけ加えておきたい。僕から云わせると、すでに鎌倉を去った後なお高木に対しての嫉妬心がこう燃えるなら、それは僕の性情に欠陥があったばかりでなく、千代子自身に重い責任があったのである。相手が千代子だから、僕の弱点がこれほどに濃く胸を染めたのだと僕は明言して憚らない。では千代子のどの部分が僕の人格を堕落させるだろうか。それはとても分らない。あるいは彼女の親切じゃないかとも考えている。
三十一
千代子の様子はいつもの通り明っ放しなものであった。彼女はどんな問題が出ても苦もなく口を利いた。それは必竟腹の中に何も考えていない証拠だとしか取れなかった。彼女は鎌倉へ行ってから水泳を自習し始めて、今では背の立たない所まで行くのが楽みだと云った。