Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひがんすぎまで

彼岸過迄

夏目 漱石

Leggi 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.333 caratteri · 385 schermate

Aozora Bunko

とあたかも少女の喜びを予想したような事を云った。女は一口の答もせず黙ってその手巾を指先でつまんだまま暖炉の傍まで行っていきなりそれを火の中へ投げ込んだ。ダヌンチオは別にしてその他の席に居合せたものはことごとく微笑を洩らした。

僕はこの話を聞いた時、年の若い茶褐色の髪毛を有った以太利生れの美人を思い浮べるよりも、その代りとしてすぐ千代子の眼と眉を想像した。そうしてそれがもし千代子でなくって妹の百代子であったなら、たとい腹の中はどうあろうとも、その場は礼を云って快よく手巾を貰い受けたに違いあるまいと思った。ただ千代子にはそれができないのである。

口の悪い松本の叔父はこの姉妹に渾名をつけて常に大蝦蟆と小蝦蟆と呼んでいる。二人の口が唇の薄い割に長過ぎるところが銀貨入れの蟇口だと云っては常に二人を笑わせたり怒らせたりする。これは性質に関係のない顔形の話であるが、同じ叔父が口癖のようにこの姉妹を評して、小蟇はおとなしくって好いが、大蟇は少し猛烈過ぎると云うのを聞くたびに、僕はあの叔父がどう千代子を観察しているのだろうと考えて、必ず彼の眼識に疑を挟さみたくなる。