Classici giapponesi con furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Leggi 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) di 柳田 国男 (やなぎたくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 257.350 caratteri · 507 schermate
兄弟のこと
兄の望郷心
兄弟のこと
兄の望郷心
一ぺんは記しておきたく思うのは、早く郷里を出た長兄の鼎が、自分の生家に対していろいろの回顧を持ち、自分の幼少であった時分の思い出をたくさんもっていた点である。この兄が郷里で小学校長をしていたこと、若くして娶った兄嫁と不縁になり、志を興して東京に出たことは前にも述べた。この最初の兄嫁が幼い義弟の私に、その後も大変親切であった有難さが、七十何年後のいまも忘られないと、この「故郷七十年」で書いたのに対し、その兄嫁の近親の人たちから、はからずも心の籠った通信を頂いたことは、近ごろにない嬉しさであった。
下総の布川に開業していた長兄は、医者という商売柄、一週間と家を空けるわけにはいかないので、いつも播州のことを心にかけ、噂を絶えずしながら年取って、殆んど播州へは帰らずに終ってしまった。懐しそうに語る話は、じつに旧式で、兄と私とは年が十五も違うので、同じ辻川や播州の観念が大分ちがっていたのである。
年若く師範学校を出て村に帰り、小学校長になったころ、村には兄を助けてくれる同年輩の人が多かったが、東京に出て五、六年も医者の修行をしているうちに、これらの仲間の上にもはげしい時代の変遷があった。