Classici giapponesi con furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Leggi 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) di 柳田 国男 (やなぎたくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 257.350 caratteri · 507 schermate
眼がさめてみると、小屋の口いっぱいに夕日がさしていた。秋の末のことであったという。二人の子供がその日当りの所にしゃがんで、一生懸命に仕事に使う大きな斧を磨いていた。そして「もう死にたいから、これで殺してくれ」といったそうである。そして小屋の入口の敷居の上を枕にして寝たそうである。親の方はくらくらして、何の考えもなく二人の首をきってしまった。その後でおそろしくなり、死ぬことができなくなって、一人で里へ降りて自首したというのである。じつに悲惨な話で、これくらい私の心を動かした特赦事件はなかった。
同じ頃、先の話と同じような悲しい事件がもう一つあった。九州の或る村の女が、ある男と大変仲良くなったが、親が許さぬので二人で逃げた。どうにか世の中へ出てみたが、病気をしたり、いろいろ不幸にあったりして、貧乏のために食えなくなった。子供も出来たが、どうしようもないので、恥を忍んで非常な山の中の生れ故郷へ帰って行った。しかし身寄りの者は死んでいないし、笑い嘲る人ばかり多かった。すごすごとまた町に帰ろうとしたが、男は病身でとても働ける見込みはなかった。子供を負ぶって引返して来る山道で、下に滝が落ちているところへ来かかった。