Classici giapponesi con furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate
「なにをするのッ。呶鳴るわよ」
「おっ、これだ! あった。これさえ返れば」
「離すもンか、死んだって」
闘う女の真白な玉裸が、また無性に俯ッ伏してそれを押し隠す。その弾みに、短刀だけが、寝台の下にころげ落ちた。あわてて、宋江の片手が、短刀を拾い上げたのを見ると、婆惜は本能的に、ひーッと悲鳴を発し、つづいて、
「ひッ、人ごろしっ」
と、刎ね起きた。
その絶叫が、かえって、宋江の一瞬の狂気を呼んでしまった。――せつなに「うむッ……」とのけ反ッた重い肌と黒髪が、宋江の顔から胸元へかけて仆れてきたとき、いつのまにか、刃はふかく婆惜の脾腹をえぐっていたのである。温い、いや熱くさえある血潮が彼の二ノ腕までまみれさせ、彼は蒼白となった面に、その双眼を、じっと、ふさいだままにしていた。
「…………」
どたん、と床へ死骸を投げ出すと、大きな息を肩でついた。
彼は手ばやく、鸞帯を肌の下に締めた。そして晁蓋の手紙は灯にかざして焼きすてた。それが早いか、物音に眼をさました婆が、階下から上がって来るのが早いか、間髪な差でしかなかった。
「……あっ、閻婆だな」
ふッと、蘭燈をあわてて吹き消す。