Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate

Aozora Bunko

老母の分別としても、今は、いちかばちかを賭すしかない。目立つ物は何一つ身につけず、息子の背に負われて、裏門から忍びでた。

番兵頭の李と張は、知らぬ顔して、見のがしてくれた。――王進は、深夜の底を走って、西華門へかかった。ここにも彼の弟子がいる。わけを偽って、通してもらい、そのうえ一頭の馬を借りて母を乗せて、自分もその鞍尻に跨がった。

「ああうまくいった。母上、もう大丈夫です。まだ、追手も見えません」

「けれど、おまえ、これから何処をさして?」

「延安ノ府(陝西省)へまいりましょう」

「え、陝西の延安へ」

「そうです。あそこの府境の城に、経略(城代の官名)として国防の任に当っているお人は、老と申されますが、その部下には、都で拙者が棒鎗を教えた者がたくさんおります。それにその人とも、よく文通などもしている仲ですから」

「さぞ、遠くであろうの。延安の空は」

「黄河の西、長安の古都の北、なにせい、旅はやさしくはありません。ご辛抱くださいませ」

「おお、どんな難儀とて、わが子と二人なら、忍べぬことはない」

「この王進も、母上を抱いているのが、百人力のここちです」

逃亡の旅は、風に追わるる如く、野に伏し山に伏して、かさねられてゆく。