Classici giapponesi con furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Leggi 新生 (しんせい) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.815 caratteri · 663 schermate
この国の羅馬旧教の季節が来ている。お前も来て、主の受難を記念する夕方に憩え。お前に食わせる麺麭、お前に飲ませる水ぐらいはここにも有ろうではないか……」
書斎でもあり寝室でもある部屋の机に対って、岸本は自分の書いたものを取出した。窓側の壁に掛けてある仏蘭西の暦は三月の来たことを語っていた。その窓側で彼は書きつけた自分の旅情を読み返して見た。
部屋を見廻すと、まだまだ彼は長い冬籠りの有様から抜け切ることが出来なかった。町の空も暗かった。しかし、正月、二月あたりはもっと暗い日の続くことが多かった。彼は恐ろしい低気圧が、十五日も続いた低気圧が、自分の心の内部を通過ぎて行ったことを感じた。冷い感じのする硝子を通して望まるる町の空は暗いとは言っても早や何となく春めいた紅味を含み、遠い建築物の屋根や煙突も霞んで見え、戦時の冬らしく凍り果てた彼の旅の窓へも、漸く底温かい春が近づいたかと思わせた。
久し振りで聞く軍隊の相図の笛が岸本の耳についた。喇叭卒を先に立てた仏蘭西歩兵の一隊がゴブランの市場の方角から進んで来た。そして町の片端で足を休めて行こうとするところであった。