Classici giapponesi con furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Leggi 新生 (しんせい) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.815 caratteri · 663 schermate
その人の兄と巴里の美術家とは至極懇意な間柄でもあるからで。丁度人が眠くなる夜の部分を通り越すと反って頭脳が冴えて来るように、岸本は疲れながらも一層よく思考することが出来るような気がした。彼は自分の再婚に就いて考えた。現実を厭い果てた寂しい修業地から引返して行って僧侶の身にして妻帯を実行したというあの昔の人達の生涯の意味は、旅に居る間の自分を教えたことを考えた。もう一度夜明を待受けるような心で国に帰って来た彼自身は既に四十五歳にもなることを考えた。もし妻の園子がこの世に生きながらえているとしたら、二十二の歳に嫁いて来た彼女が早や三十九になるとも考えた。その年に成っての二度目の結婚だ。彼は何もそんなに年の若い妻を迎える心は持たなかったのであるが、そうかと言って四十に手の届く婦人と今更結婚する気にも成れなかった。すくなくも三十前後の婦人に望みを掛けていた。この望みだけは、巴里の美術家から聞いて来たところによると、どうやら叶いそうであった。
しかし岸本がこれから未知の家族を訪おうとすることは、準備なしに行かれる普通の楽しい訪問とも違っていた。逢って見て意気の合いそうにも無ければ、断らねば成らない。