Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
しんせい
新生
島崎 藤村
Leggi 新生 (しんせい) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.815 caratteri · 663 schermate
旅から帰って来たばかりで、そう焦心るな。先ず休め」
こういう声が岸本の耳の底の方で聞えた。最近に、彼は巴里馴染の小竹からも手紙を貰った。西伯利亜経由で彼より先に東京に帰っていたあの画家の消息の中にも、帰朝者としての心持が出ていた。小竹は極く正直に、何となく頭脳がハッキリしないで、未だ画作にも取掛らないでいると書いて寄した。それを読むと、岸本にはあの仏蘭西印象派その他の作品の模写を携えてリオンから巴里へ帰った時の小竹の草臥れたらしい顔付を思出して、そう言って書いてよこした手紙の心持を懐しんだ。
「して見ると、皆そうかなあ」
思わずそれを言って見た。日本に帰って半年ばかりの間、殆ど茫然自失の状態にあったというある知人の言葉も彼の胸に浮んだ。
「ああああ――まるで自分のたましいは顛倒ってしまった」
と彼は歎息した。
旅の空で彼はよく帰国の日を想像したことを思い出した。何が国の方で自分を待受けていてくれるだろうとは、よく彼が自分で自分に尋ねた問であったことを思出した。実際、彼が旅人としての胸に描いて来たように、過去は過去として葬り、不幸な姪には新しい進路を与え、彼自身もまた家庭をつくり、早く母親に別れた泉太や繁のような子供等までも幸福にすることが出来るならば、実にこの世の中は無事であるけれども、もともと遠い旅にまで