Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
しんせい
新生
島崎 藤村
Leggi 新生 (しんせい) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.815 caratteri · 663 schermate
憐む人と憐まるる人との隔りは、やがて彼と節子との隔りであった。「節ちゃん、お前は何時までも叔父さんのものかい」と訊いて見るほど近く行った時でも、まだ彼は自分と節子との間にいくらかの隔りを置いていた。どうやら彼はその隔たりまでも捨てて掛ろうとするように成った。まだ若い女のさかりの身で一生を託してもいいと言うほど可憐な心を持つ人を救おうがためには、彼は何もかも彼女に与えようとするほどの情熱を感じて来た。それほど節子の書いてよこした手紙は、彼を淋しがらせた。
こうした眠りがたい夜が続いた。過ぐる三年、罪過の苦痛に悩まされつづけた岸本のたましいはしきりに不幸な姪を呼んだ。その時になって初めて彼は節子に対する自分の誠実を意識するように成った。長い懊悩も、憂鬱も、忍耐も、寂しい寂しい異郷の独り旅も、すべては皆この一つを感知するために有ったかのように思われて来た。もっともっとこの関係を押し進めて行って見たいと思うほど心もすすんで来た。節子を谷中の方に置いて見て、一層よく岸本にはこのことが分った。
五晩ばかりも岸本はよく眠らなかった。彼には自分で自分が持ち切れなくなって来た。