Classici giapponesi con furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Leggi 新生 (しんせい) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.815 caratteri · 663 schermate
彼女は結婚を断念してかかっているのだ。最初からもう岸本は彼女の自由には成らないのだ。彼女の生んだ子供まで彼女の自由には成らないのだ。この世に何物をも所有することの出来ないのが彼女の愛だ。その心持から、岸本は彼女が覚束ないながらも宗教へと辿り行こうとしていることを考えて、言いあらわしようの無いあわれさを覚えた。
「お前は節子をああして置いて可哀そうだとは思わないか。彼女の青春もやがて過ぎ行こうとしているではないか」
どうかするとこういう声が来て岸本を試みないではなかった。けれども、「わたしどもは幸福でございますね」というその当人をどうしよう。もとより彼は甘んじて節子を自分の肩に負おうとするほど罪過の深さを感ずるものだ。長い間の苦悩からどうにかこうにか彼女を救い出すことが出来て、彼女を幸福にすることが出来るなら、それ以上の運命を弱い人間の力でどうすることが出来よう。
岸本は自分の生命がしきりに彼女に向ってそそぎつつあるのを感じていた。彼は趣味に於いても不思議なくらい節子と一致していた。彼女の髪、彼女の着物なぞは誰のにも勝って彼の好みに合った。彼はあの弟子であり尼僧であり情人であったというエロイズをアベラアルの一生に結びつけて想像し、多くの名高い僧侶達の生涯にも断ちがたい愛着のくるしみのあったことを想像し、一切