Classici giapponesi con furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Leggi 新生 (しんせい) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.815 caratteri · 663 schermate
九十八
見るもの聞くものは忘れがたい帰国の日のことを岸本の胸に喚起させた。
「節ちゃん、お前にはお茶番を頼んだぜ」
と岸本は節子に言って、この珍客を款待そうとした。彼はあの独りで悄然と高輪の家の門口に立った時の帰朝者としての自分の姿を眼前にある中根夫婦に思い比べずにはいられなかった。土産一つ出すにも、彼は「どうぞお貰い下さい」という調子で、兄夫婦や兄の子供の前に差出したものだ。中根夫婦が今、「これを進げます」と言ったように、泉太や繁に旅の土産を分つのに比べたら、何という相違だろうと思った。
九十八
夕飯まで離座敷に集まった親戚のものは、大人も、子供も、互に楽しい時を送った。二人ある輝子の子供のうちで、兄の子供の方は賢と言い、妹の方は毬子と言ったが、毬子は賢ほど人見知りをしなかった。その毬子は直ぐ泉太や繁の側へ行って子供らしい遊戯の仲間入をしている。賢は用心深く中根の側にばかり居て、「賢さん、賢さん」と岸本の子供に呼ばれても父親から離れようとはしなかったが、そのうちに飛出して行って繁を相手に相撲なぞを取り始める。その光景を眺めながら中根は露西亜の旅の話に余念が無かった。