Classici giapponesi con furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Leggi 新生 (しんせい) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.815 caratteri · 663 schermate
百三
百三
「お前の家でも、祖母さんはもう行火かね」
と岸本は節子に言いかけて、子供の部屋の方に温めて置いた土製の行火を見に行った。それを自分の部屋まで引いて来て、北向の障子の側に置いた。
「子供が学校から寒がって来るだろうと思って、今日は行火をこしらえといた」
と岸本は言って見せて、寒い季節を感じ易い節子の身体をも温めさせた。
「節ちゃん、お前の悪い手を一つ見せとくれ。来年からは、お前の手を直すことも俺の仕事の一つにしたいと思ってる」
と岸本に言われて、節子は長いこと水いじりの出来ない手を行火の蒲団の上に置いて見せた。皮膚を侵す病は最早彼女の掌全体に渡っていて、神経の鋭くなった指のあたりからはどうかすると血が流れるとのことであった。
「ひどい手をしてるんだね」と岸本が言った。「こんなに悪くなるまで放擲して置くなんて――まあ、良い医者に診て貰うんだね」
節子は自分でも掌を眺めていたが、やがて蒲団の中へ引込ましてしまった。来年の正月あたりから、病院にでも節子を通わせたいという岸本の話は、ひどく彼女を悦ばせた。それには彼は今までのように一週に一度の手伝いも一切りとし、用事でもある時に通って来て貰うことにして、手の療治を専心に心がけさせたいという話をして彼女を慰めようとした。