Classici giapponesi con furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Leggi 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 173.309 caratteri · 352 schermate
みんな仕事が終って、星の落ちている暗い川べりで手足の泥を洗っていた。
「――おや?」
その中に一人、法衣を着ている男があった。変に思って、顔をのぞいてみると、姿も皮膚の色もまるで変ってしまっているが、それは十数年前に碇ヶ関の山中でわかれた福原主水のなれの果てであった。
「あっ? ……おうっ……主水殿……どうしてここへ来ているのか」
「とうとう、気づかれたな」
福原主水は、笑って云うのだった。
「去年も来ていた……今年もまた来た……だが貴公がこの事業を成し遂げるまでは、名乗り合いたくなかった」
「じゃあ、わしの事業に、力をかす気で来てくれたのか」
「それくらいなことはせずば……」と、しばらく黙って、自分の法衣の袖を示しながら、
「こういう物を着ている身だ。ここで働くのも修行になるしなあ」
「かたじけない」
「棟方殿、弱気を出すなよ」
「とにかく、小屋へおいで下さい」
「行くまい。この津軽平野に、青田の風が吹くようになったら行こう。……もいちど云っておくぞ、弱気を出すな。……碇ヶ関で、わしを逃がしてくれたなどは、弱気というものだ。助けられたわしも至らない人間だったが、おぬしとしても、あれはやはり賞められない事だと思う。