Classici giapponesi con furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Leggi 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 173.309 caratteri · 352 schermate
九
九
大きな月が半島の山の骨をあざやかに見せていた。
津軽灘の海らしい果てに、蝦夷までみえるかと思われるように冴えた夜である。
「……だめかい? だめかい? ……お珠さん。どうしても、お父っさんにこの事業を思い止まらせる事はできないかい」
「白骨にならないうちは止めそうもありません」
「――ああ困ったなあ」
「安太郎さんっ……」
お珠は突然、握りあっていた手を解いて、より強い力でしがみついた。
「後生ですっ。……これから方々の村々へあなたが廻状して、もいちど、みんなを宥めてくださいませ。……あなたのお父さん、郷士でもあるし、学者だともいう事です。あなたのお父さんにもお頼みして」
「ところが、その父が、与右衛門殿のする事を、頭から悪く云っているんだよ。この下の開墾役所に打ッ壊しが始まれば、先に立って来るほうだ」
「……でも! 安太郎さん、あなたのお力で、縋ってください。……ね、安太郎さん、お珠が一生のおねがいでございます」
青じろい月の下に、白い襟くびが泣きふるえていた。安太郎は着物を透してくる女の涙の温かさを肌に受け取っていた。
「よしっ、やってみるよ! ……泣かないでもいいよ。