Classici giapponesi con furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Leggi 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 173.309 caratteri · 352 schermate
二
与右衛門は勇躍して、主水を追跡した。そして南部領へ落ちて行こうとする彼を、出羽街道の碇ヶ関の山中で見つけ、
(君命であるぞ、主水! 首を所望)
とまでは、名乗りかけたし、また討って帰るつもりだった。
二
碇ヶ関まではずいぶん山道を歩く。人にも会わない道が何里とあった。主水と出会った山中も、仏法僧の声しか聞えない樹立の間だった。
兇悪な――上ずった眼でもしているかと想像していた主水は、案外、落着いていて、悪びれたふうもなく、
(騒がしてすまなかった)
と最初に云った。
それから彼は、同僚を斬った理由を語り、藩用と詐称して借りた金を、実は自分の身に帯びて来たわけでなく、同役は今みんな喰えなくなっている。扶持では実際に食えない実状なのだから仕方がない。それに起因して、自暴自棄になりかかっている輩がかなりある。自分もその一人なので、こんな時だと考えたから、大町人の金を借出して、そっと喰えない仲間へ置いて来てやったのだとも云うのである。
――そんな話を聞いてしまうと、与右衛門は、主水を斬る気を失ってしまった。主水はまた、与右衛門に対して害意を抱いている気色など少しもない。