Classici giapponesi con furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Leggi 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 173.309 caratteri · 352 schermate
二
なア、お松ちゃん」
八は、着物をかえていた。そして岸へ上がって行きながら、
「おらあ、町へ行って、一ぺい飲るつもりだが、どうだい権十、つきあわねえか」と、誘った。
「さあ? ……」
権十は、生返辞だった。父娘が二人きりの船世帯なので、十五の小娘を一人残して行くには忍びないらしいのである。
八は、陸から、
「なあ、お松ッ子。帰りにゃ簪を買って来てやらあ。いい子だから、お飯が炊けたら、一人で喰べて、先に寝ていな、いいだろ」
「ああいいよ」
お松は、岸を仰いで笑った。船頭の娘なので、河っ童のように髪の毛は赤いし、色は黒いが、眼元がぱっちりしていて、研けば今に、潮来でお職が張れるなどとよく揶揄われたりするほど、どことなくそんな素質の小娘だった。
二
この地方ばかりでなく、諸国とも、今日から一切「鳴物停止」のお布令だった。
七軒町の遊廓も、雪明りの中に、しいんと軒を並べて戸を閉めていた。野良犬の影が、今夜は妙に目立って見える。勿論、張店はしていないし、燈火の洩れるのさえ遠慮がちに、ペンという音さえ洩れて来ないのである。
「よせよ」
「いいったら」
「おめえはいいだろうが、おらあお松坊が、淋しがっているから」