Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Leggi 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 173.309 caratteri · 352 schermate

Aozora Bunko

二

女は彼の腕を引っ張った。

その血相に励まされて、旗岡巡査も意を決めた。女に尾いて駈け出したのである。

女は谷戸橋を渡った。

高台の中腹にある西洋館だった。

「捕まえて下さい。犯人はまだ、あそこにいるに違いありません。カーテンに人影がさしたでしょう。……だけど、短銃を持っていますから、それだけ気をつけて」

三階の窓を指さして、女はうつつにしゃべった。青いカーテンから透いている灯が、気のせいか、妖魔の燈火のように見えた。

二

旗岡巡査は、その窓を仰ぎながら、おろおろしている雇い女へ、二つ三つ訊問した。

「おまえの主人が犯人なんじゃね」

「ええ……ええ……そうです」

「外国人じゃないのじゃろ」

「日本人です」

「何商か?」

「御婦人ですから、職業はありません」

「でも、その良人は」

「良人もございません。お妾さんですから、――殺されたのは旦那さまです」

「ははあ、妾宅か」

「旦那さんは、弁天通りにお住居のある生糸の仲買さんです。御本宅へは、爺やを知らせにやりましたから、爺やと一緒に、奥さんが来るかも知れません」

「何でそんな惨事を起したのか、おまえ知らんのか」

「旦那さんが、手を切るといったからです」