Classici giapponesi con furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Leggi 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 173.309 caratteri · 352 schermate
水調子
清吉はむしろ思う壺だった。百五十両が、この女の身代になるならばむしろ安値いものだという算盤が――無意識のうちに胸で働いていた。
「え。おれと?」
手を握って、見つめると、
「九刻ころ、御旅の汐見松の下で落会っておくんなさいな。――私も、旅支度をして行きますから」
秀八はそう云うと、じっと清吉の手を握り返して、先に金子の座敷をもらって帰って行った。
水調子
九刻――といえばもう夜半、だいぶ間があるなあと、杯を見て清吉は独り思う。
支度と云っても、もう商いの荷はないし、旅馴れてもいるので、これに、脚絆と草鞋さえつければ、だが――ふと不安になって来たのは、
(ほんとに、来るのかしら?)
秀八の心の底だった。
無心した金さえ費い途を、訊いてくれるな、訊くなら要らないと云った女。――考えれば危ないものと、どうしても思われてならない。
通船楼のおかみさんに嗤われたくない気がしきりにして来る。百五十両という額も、今さら、身に過ぎた大金に思えて惜しくもなった。――けれど、ほんの通りがかりに、三十両もする小鳥屋の鵯をツイと籠から放して、生涯の借金に背負っても苦にしないでいる妓もある深川かと思うと、こんな事では、辰巳で遊び客の資格はないのだと、あの通船楼の若いおかみさんの鉄漿がまたどこかで嗤っているような気がするのだった。