Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Leggi 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 173.309 caratteri · 352 schermate

Aozora Bunko

竹の柱に、八卦の乾坤を書いた布の囲い、暗い川風にうごいていた。筮竹の前に、易者の姿は見えなかった。――覗き込んで、ちょっと清吉がぼんやりしていると、

「こっちだよ、往来から見えるから、裏へ廻っておいで」

と、川の方に向っている幕の蔭で、通船楼のおかみさんの声がした。

巨きな柳樹の根を廻って、裏の方へ行ってみると若いおかみさんは、そこの床几に腰かけて、川の櫓音でも聞いているようにじっとしていた。

使いの男が云った通り、いつぞやの唐桟らしい丸い物を、風呂敷につつんで膝にのせていた。

「何ぞ、御用ですかえ」

その唐桟なら、突き戻されるような品でもないし、何か、苦情を云われたら、あべこべに云ってやる気で、清吉は小腰を屈めた。

「清さん……おまえ今夜、秀八に金をやったろう」

「えっ……?」

「今、あの妓は、家へ来ているんだよ」

「へえ、おかみさんに、話しに行ったんですか」

「わたしじゃないのさ。……会っているのは、与力衆と、伝馬牢の同心だよ」

「牢役人に……。はてな? ……それやあどういう理でございましょう」

「だからわたしが断っておいたじゃないか。――あの妓の情夫は、澪の伝兵衛という大泥棒なのだよ」