Classici giapponesi con furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Leggi 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 173.309 caratteri · 352 schermate
「手を切るといったぐらいで、そんなことにもなるまいが」
「深いことは知りませんけれど、こちらのおくさんの方は元、神風楼で花魁をしていたのを、旦那様が身うけして、ここへ囲ったのだと伺いました。――それだけならいいんですけれど、旦那さんは取引先の異人を連れて来ては、自分の姪だといって、ここのおくさんに、お女郎屋にいた時と同じことをしろといって強いるのです。――そして随分、異人からお金を取ったんだそうです。その揚句、下駄でもはき捨てるように、切るの、出て行けのといったからでしょう」
「その犯人は。――名は何ていうのかね」
「そこに標札が出ております」
「うむ、成程。……木島松子というのだな」
角燈を翳して、それを見ている後ろへ、人力車の輪が砂利を噛んで軋り込んで来た。
「――アッ、御本宅の奥様っ」
俥から降りる婦人のすがたを見ると、女中はエプロンを顔に押し当てて泣き出した。そして、自分が犯罪者でもあるかのように、
「申し訳ございません。……旦那様が……あんなことになって」
と、うわずって詫び言を叫んだ。
俥から降りた婦人は髪を夜会に結い、病人のように青白い皮膚をして、見るからに弱々しく思われた。