Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Leggi 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 173.309 caratteri · 352 schermate

Aozora Bunko

「又十郎、又十郎」

兄の十兵衛の声である。

「は。何ですか」

机から顔を上げて、又十郎は、細目にあいていた窓をいっぱいに開けた。兄の十兵衛は、向うの部屋から顔を見せている。

「今帰ったのか」

「え……え、え」

「門前で、何か喧ましい声がするではないか。何ぞ見かけなかったか」

又十郎は、ほっと胸をなでた。父のかわりに、兄から脂を搾られるのかと、実は、返辞にも気が暢びなかったのである。

で、遽かに、快活になって、

「なあに、お気に止めるには当りません。毎度見える、貧相な武芸者です。柳生を打込めば一躍、柳生に代って、天下無双と法螺でもふこうという野心家の手輩でしょう」

「それにしても、騒ぎが長いじゃないか」

「頑然と、帰らないので、家来どもも持て余しているのです」

「ふむ。……又十郎」

「は」

「おまえ行って、始末してやれ。ちょうどお父上は御登城中だ。父上がいてはできないが、おれがゆるす。それ程、強情に申す者なら望みにまかせて道場へ入れ、一撃に撲りつけてやれ」

「はあ」

「はやく行け。……自信がないのか」

「な、なに。多寡の知れた……」

「幾つぐらいな男?」

「もう四十を五つ六つ越えておりましょう」