Classici giapponesi con furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Leggi 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 173.309 caratteri · 352 schermate
どこかで一度、斬りつけたとみえ、右には抜刀をさげていた。
樽屋の家族は、お次の婚礼が近いので南縁に縫い物をひろげていたが、
「きゃっ」
と、逃げ惑って、
「あれっ、誰か来て――っ」
と、叫んだ。
漬物蔵から、向う鉢巻の若い者が大勢駈け出して来た。
「やいっ武士、うぬあ気狂いか」
と、武士を支えた。
「狂人ではないっ、拙者は小田原の大久保加賀守の家来、岡本半助という者。今そこの漬物蔵へ逃げ込んだは、隣家の秋山家にいた若党の佐太郎という者。……あ、水を一杯くれ」
「水だとよ。贅沢をいってやがら」
「忝い――。話が、前後したが、それはもう十三年も前だ、若党の佐太郎めに騙かられて、拙者の妹八重は家出した。それを連れ戻そうとして、追って行った拙者の弟は、佐太郎めに討たれ、妹は、前非を恥じて、自害いたした」
「へえ?」
「弟妹二人の敵、佐太郎めを、以来尋ね廻ること十年あまり。それを、見つけたのだ。――この床下へ隠れ込んだ乞食めが、昔の若党佐太郎に相違ない。各※(二の字点、1-2-22)、恐れ入るが、ここへ潜って、追い出して下されい」
誰も、返辞をしなかった。
お次は、老母のうしろに、白い顔をして、戦きながら聞いていた。