Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Leggi 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 173.309 caratteri · 352 schermate

Aozora Bunko

「えっ、信州の甥野郎が来たと。あの、彦太のやつ、とうとう、出て来てしまったのか」

彦太は、店の若者について、もう襖の内に立っていた。丸ッこい顔に、羞恥を湛えて、そこへ、ちょこなんと畏まった。三十近くにみえるが、まだ二十四歳で、小肥りで背が短かった。百姓縞の下に、稽古着を着、紺のもんぺをはいているのである。初めは、にやにや笑っていたが、坐ると、大きな口を真面目にむすび、伯父の顔いろを、団栗のような眼でじっと見ていた。

厄介なやつだ――

そういわんばかりに、弁政は、山国から風で飛んで来てそこへ座ったような朴訥な甥を、いつまでも黙って、眺めていた。頭髪を、使いからしのハタキみたいに束ねて後ろへ下げた態や、稽古襦袢を近頃の壮士風に襟元から見せてる態や、百姓とも浪士ともつかない稚気満な恰好に、思わず吹き出したくなったが、

「――む。出て来たのか、とうとう」

おかしさを抑えて、わざと苦りきッた。

彦太は、思いつめた野望と、羞恥とを、脂肪でぶつぶつしてる顔へ、赤く燃やして、

「へい、出てめえりました。伯ッ様のお手紙にゃ、江戸へのぼる事アなんねえという御異見でしたが」