Classici giapponesi con furigana
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ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Leggi 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.213 caratteri · 325 schermate
しかし、それより前から女はちゃんと知り抜いているらしかった。そして何の恐怖にも襲われずにあたりまえな歩調で登りを辿っている。ただ、駕屋のことばに依って初めて知ったのは、その手に抱えている帛紗づつみの四寸ばかりの小筥である。
(はてな、何か、よほど大事な物らしいが、道中ではあんな小筥を持っていなかった。……ははあ、してみると帯の背に隠していたのを、きょうはいよいよ目的の含月荘へ着くので、手に持ちかえて参るんだな)
八弥は、そう判断した。
しかし、気にかかる。小筥の中に何を入れてあるのだろう。路銀? 手紙? イヤどうもそんな程度のものじゃない。
(そうだ、これや一つ、含月荘へはいらぬうちに、あれを奪って、同時に、花世殿か別人か、それも同時に確かめてしまうのが何よりだ)
八弥は、そう肚をきめた。
彼はさらに足を早めて、女の後ろ姿へ迫った。半町の距離は、二十間になり、十間になり、もう四、五間の近くにまで追い着いた。
「今!」
と、八弥の胸は昂く衝った。
とんと、膝を落すとともに、彼の手裡には白い十手が隠れた。――が、途端に、女も感覚的にくるりっと振り向いて、