Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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とらのきば

虎の牙/透明怪人

江戸川 乱歩

Leggi 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 193.761 caratteri · 388 schermate

Aozora Bunko

透明怪人

ろう人形

ろう人形

そのふたりの少年は、あんなこわいめにあったのは、生まれてからはじめてでした。

春のはじめの、ある日曜日、小学校六年の島田君と木下君は、学校の先生のおうちへあそびにいって、いろいろおもしろいお話を聞き、夕方になって、やっと先生のうちを出ました。そのかえり道の出来事です。

「おや、へんだね、こんな町、ぼく一度も通ったことがないよ。」

島田君がふしぎそうに、あたりを見まわして、言いました。

「ほんとだ。ぼくも通ったことがないよ。なんだか、さびしい町だね。」

木下君も、へんな顔をして、人っこひとりいない、広い大通りを見まわしました。

夕方のうすぼんやりした光の中に、一度も見たことのない町が、ふたりのまえに、ひろがっていたのです。くだもの屋だとか、菓子屋だとか、牛肉屋などが、ずっとならんでいるのですが、どの店にも、人のすがたがなく、まるで、人間という人間が、この世からすっかりいなくなって、店屋だけが、のこっているのではないかと、あやしまれるほどでした。

「へんだなあ。」と思いながら、あるいていますと、一けんのりっぱな骨董屋が目につきました。大きなショーウィンドーのなかに、古い仏像だとか、美しいもようの陶器などが、たくさんならべてあります。