Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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とらのきば

虎の牙/透明怪人

江戸川 乱歩

Leggi 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 193.761 caratteri · 388 schermate

Aozora Bunko

鏡に学生服だけが、うつっているのは、そのためだったのです。

みなさん、自分のからだが、まったく目に見えなくなったら、どんな気持ちがすると、思いますか。自分が、この世から消えてしまうのです。しかし、ちゃんと生きているのです。むかしの忍術使いは、自分のからだを、かきけすことができたそうですが、でも、それは一時のことです。また、もとのすがたにもどれたのです。ところが、大友君は、もう二度と、もとのすがたには、なれません。一生、目に見えない人間として、くらさなければならないのです。世の中に、こんなおそろしいことが、またとあるでしょうか。

大友君はそれを思うと、なんとも言えないかなしみが、こみあげてきました。「おかあさーん。」と、さけびたくなるのを、やっと、歯をくいしばって、こらえました。しかし、なみだをとめることは、できません。あついなみだが、ほおをつたって、ながれているのが、よくわかります。でも、そのなみだは、目には見えないのです。前の鏡には、何もうつらないのです。

「おお、気がついたか、きぶんはどうだね。」

ふりむくと、横ての小さなドアがひらいて、そこから、怪老人の四角なメガネが、のぞいていました。