Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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とらのきば

虎の牙/透明怪人

江戸川 乱歩

Leggi 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 193.761 caratteri · 388 schermate

Aozora Bunko

森の中はもうまっ暗です。向こうの社殿がボンヤリと見わけられるばかりで、そのほかは、一面に黒いまくを、ひきまわしたようです。

ところが、ふと気がつくと、そのやみの中で、なにかモヤモヤと動いたものがあります。ギョッとして、小林君は、木の幹に、からだをかくし、動いたもののほうを見つめました。

「なあんだ、気のせいだったのか。」

それは社殿の前の左右にすえてある大きな石のコマイヌでした。その右のほうのコマイヌが小林君の五メートルほど向こうに立っていて、それが身うごきをしたように感じたのです。

三だんに組んだ石の台の上に、ちょうど人間がうずくまったほどの、大きな石のコマイヌがいるのです。コマイヌといっても、イヌの形ではなくて、むかしの絵にある獅子のような姿をしています。たてがみが、クルクルうずをまき、大きな顔、ふとい足、ふさふさした尾、どこの動物園にもいないような、ふしぎな怪獣です。

しかし、それは石をほってこしらえたものですから、動くはずはありません。さっきから、みんながその前を行ったり来たりしていたのですが、だれも石のコマイヌなんかに注意するものはなかったのです。