Classici giapponesi con furigana
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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
Leggi 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 150.635 caratteri · 306 schermate
その父の形相にひさかえて、
「何をなさるんです。父上、お怒りのわけを承りましょう」
凍てた大地へ、顔をこづかれていながら、小綱の面はむしろ憎いほど落着いていた。
子の落着いている眼を見ると、蔵六は、はっと親に回った。大人げないことを自省した。殊に、無意識に右手に抜いていた脇差に気づいて、それをどうする気だったろうと、慄然とした。
ゆるむ父の手を押しいただきながら、小綱は身を起して、
「いや、お怒りのわけは、解りました。より先に、私が、楠木家に随身して、なぜ武士の道をたがえたかのようなことをしたか、仔細を申し上げましょう」
大地へ、坐り直して云った。
「父上も、どうか、落着いて、お坐りください」
「こうか。――さッ申せ、聞こうっ」
蔵六は、肩も膝も四角に尖らして坐った。父親たるの顔を厳と示した。
「あれは、去年の十月中旬でした。浪華の御合戦の際、暗夜とはいえ、不覚にも、私は楠木勢のために、擒人となりました。けれど、恥とは一時の思いでした。今では、よくぞ擒人になって、真の人の道と、武士の道を、踏み迷わずにすんだと、天恩に謝しておりまする」
「な、なんだと」
「しまいまでお聞き下さい。