Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

Leggi 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 150.635 caratteri · 306 schermate

Aozora Bunko

それに、籠城方よりは遙かに優勢な立場にはあるが、攻囲軍全面にわたって、攻めあぐねた疲れの来ていたことも蔽い得ない。三番大隊・四番大隊・五番大隊、どこを歩いても酸鼻を極めていた。意気はなお旺なものがあったが、一戦ごとに、一日何度となく、死屍負傷者は運ばれてくるし、病人はふえる。いま見る友も夕べにはいないのであった。大砲小銃もほとんど使い壊してしまい、近頃はもっぱら抜刀隊と鎗隊でぶつかってゆく。そのためにまた、犠牲は激増している。

「ここだ。鎮台の命脈もここ四、五日と見た。もう一押しだ。踏ん張れ。おぬしらも目に見ていよう。目立って、台兵の痩せちょろけて来たことはどうか」

指揮官の池上四郎は、そう云って、血ぐさい陣地の味方を激励してあるいていた。途上、四番大隊長の桐野利秋に出会うと、利秋も、

「むむ、おれもそう思う。塹壕におる兵のはなしによると、敵の坑へ、芋や握り飯など抛ってくれると、痩犬が跳びつくように、台兵のやつが幾つも首を突出すそうじゃ。そこをぽんぽん狙い撃ちするんじゃという。ははは、谷干城がいくら宇土櫓に頑張っても、もう間はないぞ」

と、哄笑していた。