Classici giapponesi con furigana
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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
Leggi 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 150.635 caratteri · 306 schermate
九
作業が始まった。
誰の眼で見ても一粒の玄米さえないと思われた穀倉から、一石八斗に余る糯米・小豆・大豆・籾・焼き米、いろいろな物が出た。実に山をなすばかり取出された。
どこからそれを出したろうか。無から有が生れたろうか。
理由は簡単であった。兵糧蔵の屋根裏には、巨材の梁が縦横に組まれてある。梯子をかけて、婦人たちは、梁のうえをのぞいた。鼠糞や塵に蔽われているが、こんもりと盛上がっている小豆やら籾やらが、手で掃けば雨と降った。
羽目板の目だけを掃いて集めた糯米だけでも、驚くほどな桝に盛られた。
人々が何十年も、土足で踏みつけ踏みつけして、凹凸を作っている倉内の地面にも、掘れば、なお食するに足る物が蔵れていた。箕でより分け、篩にかけて、洗いあげる。
突然。天からでも降ったように、次の日には、塹壕や防柵の陣地にある兵隊たちの手へ、時ならぬ牡丹餅が、幾ツずつか配給された。
「皆さま。ご苦労様でございます。ありがとうぞんじます。御国のためのあなた方の御苦労は、きっときっと、万倍、億倍にもなって、同胞の上に燿きましょう。大君もおくみとり下さいましょう。神々もみそなわしましょう。