Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

Leggi 大岡越前 (おおおかえちぜん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 218.436 caratteri · 437 schermate

Aozora Bunko

「お袖。くわしいことは、ここでは話しかねるのだ。わしと共に、静かな所まで来てくれぬか」

「牢屋へですか」

お袖の尖りきった神経は、すぐ猜疑の刃を、研いだ。藪八は、やわらかに、笑い消して、

「いや、この藪田助八の屋敷だよ。わしは、南町奉行所とは、何の関係もない者だ。むしろ、越前守の過去の素行を、さるお方のいいつけで、つぶさに調べ上げておる者じゃ」

お燕も、拝むようにいって、共に縋った。

「おっ母さん。藪田様のおことばに、決して決して、偽りはありません。私も一緒にまいりますから。……ね、ね、おっ母さん」

でもなお、お袖は疑っていたが、そのとき、あなたの空き部屋で、酔い伏しているとばかり思われていたお島が、這うように、身をもたげて、ふすま越しに、こういうのが聞えて来た。

「ああ、羨ましいねえ! ……お袖さんには、そんないい子があったじゃないか。余りぜいたくをおいいでないよ。わたしなら、わたしを騙して捨てた男のでもいいから、わが子と名のつくものが欲しい。――もし、そんな子があって、子に引かれて行くならば、針の山へでも登ってゆくよ。……何を迷っているのさ、お袖さん。